人間の骨は、作ることと壊すことが同時に行われており、絶えず古い骨が新しい骨に更新されています。加齢や運動不足、遺伝的な傾向により骨量が減少し、折れやすくなります。この状態が骨粗鬆症です。特に女性は閉経期を迎えてエストロゲンの分泌が低下すると、骨からカルシウムが溶け出しやすくなり骨密度の低下が進みます。
重症化すると、咳やくしゃみなど些細な衝撃でも骨折しやすくなり注意が必要です。

「いつのまにか骨折」という言葉で知られるようになった脊椎圧迫骨折は、腰痛として見過ごされたり、本人が痛みを感じないケースもあります。特に足の付け根(大腿骨頸部)の骨折は深刻で、歩行が困難になり寝たきりの原因にもなるため、緊急手術を行うこともあります。

  • 背中や腰が曲がってきた
  • 身長が低くなった
  • 腰痛が長引いている

これらの症状がある場合、早めに骨粗鬆症の検査を受診してください。

当院では、X線骨密度測定装置を使用し骨折するリスクの高い腰椎や大腿骨頸部の状態を調べます。そのほか、血液検査で骨が作られる程度や吸収される程度を調べ、新陳代謝のバランスを測定します。

女性の場合、50歳前後から骨密度が低下しはじめます。閉経後は原則1年に1回検査するのが好ましく、1年間に3%以上の減少があるときには医師の診察を受け、半年に1回ずつ測定することをおすすめいたします。

新しい薬が次々と開発されているため、骨粗鬆症の症状や進行度に応じた治療を選択できるようになりました。最近では、骨の形成と吸収抑制、両方の効果を期待できる薬も登場しています。

当院では投薬治療のほか、ウォーキングなどの運動療法、食事療法を組み合わせた複数の治療を提案し、患者さまの健康維持をサポートいたします。

骨粗鬆症の予防には、カルシウム摂取のほか、骨の形成を助ける栄養素である「ビタミンD3」が重要です。ビタミンD3は紫外線を浴びることで作られるので、屋外で太陽光を浴びる習慣をつけると良いでしょう。転倒による骨折を防ぐためにも、散歩や軽いストレッチなど身体に負担のかからない運動を習慣づけて、筋力の低下を防ぐよう心がけてください。

カルシウムの吸収を妨げる「喫煙」「アルコール摂取」「カフェインを含む飲み物の多飲」「塩分の高い食事・インスタント食品の摂取」はなるべく避けるようにしてください。

骨折や筋力の低下を防ぐために、以下の運動を行うようにしましょう。

  1. 1日10分~15分程度の散歩を日課にする
  2. ラジオ体操など、負荷の少ない運動を自分のペースで行う
  3. テーブルや手すりにつかまりながら、左右交互に片脚立ちをする
  4. 壁に手をつき、身体を支えながらふくらはぎとアキレス腱を伸ばす
  5. 椅子に座った状態で頭のうしろで手を組み、両肘をできるだけ引く

無理のない範囲で行ってください

体調が悪いときは無理をせず休養を優先してください

痛みや違和感がある場合はすぐに中止してください